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(05.12.30 改訂)

障害者自立支援法 成立(2006年4月実施)

2005年10月31日、起立多数で成立しましたが、議場の拍手はありませんでした。
試案から提出まで4ヶ月、内容を伴わない拙速な審議が行なわれ、
データの誤り・不備や反対の声に、最後まで納得いく説明がないままでした。
障害の認定など詳細は、これから出されます。
利用者の意見や実態を捉えるしくみのない制度ですが、
3年後の見直しまで放置できる内容でしょうか。
これからも、注目していきたいと思います。

このページにリンクしてくださった方々にお礼申し上げます

◆どういうことなのか
病気になって知るこの国に暮す不幸?子育て支援が叫ばれる陰で…(JanJanインターネット新聞)

更正医療・育成医療や支援費(ヘルパーなど)の制度が必要な人は、
かかった費用に応じた額を支払うことになります。
高額の医療費や、支援量が多い人ほど
支援が必要なのに、受けない/受けられないことになりかねません。

また、福祉制度は、国の制度+都道府県などで補充
の場合がありますが、国の制度が後退すれば、地方の負担が重くなり、
福祉制度が維持できない=慢性疾患や障害のある人への負担が増える ことになります。
国会宛ての署名をしている団体があります。
障全協(障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会)
↑ここのHPの真ん中辺に(わかりにくいですが)、署名用紙がワード版とHTML版であります。
署名用紙の使い方
・住所は、都道府県から書き、「〃」(繰り返し記号)は使わないでください。
  (きちんと書かれていないとカウントされない)
・募金はなくても、一人でも多く有効な名前があることの方が重要です。
・請願人、紹介議員は、請願団体で書くので、空欄のままとしてください。
・署名の送り先をお間違えないよう、必ず署名した紙を送ってください(FAX,コピーは不可)。
…以上、よろしくお願いいたします。
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◆情報源
障害者自立支援法案(厚生労働省)…枠組だけを記した法律
障害者自立支援法案の概要(厚生労働省)
「障害者自立支援法に係る政省令等で定める事項」厚生労働省の意見募集の結果

法案の問題点(DPI)…障害者団体の見解
利用者負担に関する資料(厚労省提示) (掲載=日本身体障害者団体連合会)
 …一般の人に説明するためのチラシ類、わりとわかりやすい
捜してみてください
・障害程度区分判定等施行事業の通知…(PDF 全76頁)
判定の調査に使われる用紙、調査員用マニュアルなどあります。
判定時に尋ねられる内容(重視されていること)がわかります。


* 活動や情報提供しているサイト
http://www.j-il.jp/jil.files/daikoudou/daikoudou_top.htm(JIL 大行動トップ)
地方議員への要請行動、審議の傍聴報告など
http://www.normanet.ne.jp/~jadh/75action.html(7.5緊急大行動記念ライブラリー)
関連集会、掲示板など
http://freedom21.jp/index.php(自立生活支援センターフリーダム21)
新聞報道、映像配信など
http://www.shozenkyo.shogaisha.jp/(障全協)
http://www.normanet.ne.jp/~s-renkyo/ (障連協)
自立支援法に関する動き、資料など
学習会で用いられる資料(メインストリーム協会 佐藤氏作成)

▽広い範囲にわたって変更されそうですし、細かい部分は決まっていません。
そのため、実際にどうなるのかという資料は少なく、わかりづらいのです。
他の団体のHPや掲示板で、情報掲載しているところもあります。検索や上記サイトのリンクをたどるなどして、ご自分がピンと来る(理解しやすい)場所を探してみてください。

* 医療に関して、いくつか
・障害者自立支援法「更生医療」の改悪とは?!
 (腎臓病団体の呼びかけ、とてもわかりやすい。検索=Googleでみてください)
障害者自立支援法案の問題点(掲載元=全国保険医団体連合会)
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問題点・・・いろいろ

医療費負担増/障害の認定方法/支援費負担増/所得保証がない/障害をまとめる是非/子どもも障害枠に

・更正医療、育成医療の一割負担

 心臓手術などは今は費用が殆どかからずにすむが、今後は費用がドンとかかる(子どもの場合は、緩和措置があるとはいえ、今の3,4倍以上増えるという)。
健康保険の高額医療の制度もあるが、後から戻る制度なので、一旦支払わなくてはならない。
これとは別に入院中の食費の負担も必要になる。
心臓手術を受けるとき、順調に回復しても、100万円程度は確実に準備しなくてはならない。
 心臓病では、何度か手術が必要になることがあり、入院保障のある保険に加入できない不利益をカバーする制度を失うことで生活への負担も不安も増す。
 -->重度障害者は、自治体の医療費助成制度が利用できますが、利用者が多くなれば、今は全員受けられるところなら、所得制限や一部自己負担が持ち出され、最近負担が重くなった県や市では、さらに負担が重くなるでしょう。

・障害の重さの認定方法

 支援費制度では、市町村の担当者との面接で、支援を受ける際利用者の意向も踏まえて決められるが、自立支援法では程度区分を定め、利用量が決められるという。(介護保険と同じやり方)
同じ障害でも暮し方や個々の背景があり、支援の必要量が異なるのに、一律に決められてしまう。重複障害の場合はどういう判断がされるのか。
 程度区分の認定審査会は、どんな立場の人が判断するのか。実態を知らない人に書類だけで審査されてはかなわない。
 今の案では、利用者側の意向を入れるしくみがない。
 心臓機能障害の場合、やればできる、が、後で休息が必要となったり、体調を崩したりする。季節によっても体調=できることが異なる。そのため今でもできることの方に目を向けられ、大変さが理解してもらえないことが多い。適切な認定がされるのか。体調悪化によって状況の変化も起きやすいが、その時に速やかに必要な支援を得られるようになっているか。
 -->高齢者が受ける介護保険の認定基準をもとにした基準で1回目の判定をするらしい。それでは、動ける人は軽く判断される。
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・支援を受けると一割負担

 支援を受けた量に応じて費用の1割負担を求められる。食事をしたり、着替えをしたり、掃除をしたり、外出したり、ごくふつうの暮しの行動ができないために支援が必要なのに、できないことが多ければ多いほど、お金がかかる。(できないことが多ければ、就労も難しく、家族にかかる負担も大きく、元手になるお金が得にくい)

・家族の所得も勘案

 所得が低い人は費用負担の上限額が決められているが、これからは生計をともにする者の所得も勘案するという。そのため、その世帯の人の収入や資産を調べるための条文もある。支援を受けること自体プライバシーをさらすことだが、その上さらに心理的負担を大きくする。世帯全部を調べるというと、生活保護を思い起こす。
(家族は目に見えない制約や負担を強いられているのに、費用負担を求められる。
また、病気があると生命保険に入れないなど、不利益があるから自衛したいのに、それがあるから費用負担できるだろうと言われるのもおかしい。)
 -->健康保険が別で税金の障害者控除を受けないことを引き換えに、上限額を決める時に、親兄弟の所得を含めないこともできる、選択の余地を持たせたという。つまり、同じ世帯にいると控除などで家族もメリットを受けているので(審議会の大臣答弁によれば「恩恵」だそうだ)、別々にすれば本人だけの所得で判断しましょう、ということ。家族の制約や負担はまったく勘案されないというのはおかしい。
 配偶者はどうしても別にはならないらしい。夫婦は一心同体、助け合って暮らせばいいというのだろうけど。これから結婚しようとする人は、そうでなくても困難が山ほどあるのに、相手の負担が大きいと思うととても悩むと思う。
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・所得保障がない

 就労状況がよくない、健康な人と同じに働くことが難しいにも関わらず、金銭の負担を求める話しが先にくるのはどうしてか。 (雇用促進法の改正もあるが、企業側も業績が厳しい中対応しなければならず、すぐには変化しないと思う)
働けない場合は、施設にという判断がされるのではないか。(支援の量を決めるのは、審査会なのだ。利用者の意向が届くのか)
また、障害年金も今、先天性心臓病者は、状況が変わらなくても打ちきられる例を耳にする。働く場が得られない上に、年金も縮小されるなら、どうすればいいのか。

・障害の枠を一つに

 知的、精神、身体、この3種類を一本化したのはよい。ただし、障害に合う支援が得られることが前提。
そして、難病はどの障害にも入らない。(元々身体障害は、状態が固定しているものを想定してつくられた制度だった。体調や季節などで状況の変化するものの多い難病では、日常の不自由さがあっても身体の機能が失われないと障害と認定されない。必要な支援は共通の部分が多くても、今回の改革でも難病は一緒にならなかった)

・子どもも障害の枠の中に

すべての子どもが心身とも健やかに育つようにと定められた、児童福祉法。
障害児の制度もその中にあったのに、障害者自立支援法に移される。障害があると、最初から別枠?
障害があっても心身とも健やかに育つようにと支援のための制度があったのではないか。子どもゆえに考えないといけない ことがらだってある。(わけ方を変えると、差別と感じる)
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障害や病気では、健康な人が当たり前にできることをやるために、身体への無理強いや心理的負担が多く、その上に金銭的負担、2つ目の不利益を負わされる。前者を減らす努力はそれぞれの人がしている。後者は、社会の側が考えないとなくならない。
障害や病気は本人のせいではないはずだから、みんなで考えてほしい。
(05.05.18 UP/文責:悠)

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